Up Transformer 脳の知識の特徴 作成: 2025-11-10
更新: 2025-11-10


    人の円周率の記憶は,「3.14 (さんてんいちよん)」を何回も唱える。
    そうすると脳が, 「円周率」のことばに対し「3.14」を生成するようになる。

    「フレーズの繰り返しで憶える」は,Transformer 脳も同じ。
    Transformer 脳の "Training" は,入力テクストをなぞるというものだが,これは処理レイアーの数だけテクストを頭の中で繰り返しているわけである。


    人の場合,記憶した「3.14」は,その後ずっと使わないでいると忘れる──生成されなくなる。
    脳は絶えず更新されており,その更新が以前の記憶を消してしまうことになる。

    Transformer 脳の "Training" の「入力テクストをなぞる」は,パラメータ値の調節がこれの内容である。
    この場合,入力テクストAをなぞるように調節したパラメータ値は,つぎの入力テクストBをなぞることにはならない。
    そしてBをなぞるようにパラメータ値を調節すると,そのかわり,Aをなぞらなくなる。
    Aを「忘れる」というわけである。


    しかし,入力テクストごとに調節を繰り返したパラメータ値は,厖大な数のテクストをこなしていくうちに,固定していく。
    これは「一度憶えたことは忘れない」の状態なので,以降はテクストをこなしだけ,知識が増えることになる。

    こうして Transformer 脳は,知識を厖大かつ詳細にもつものになる。
    ChatGPT がこのことの実証である。

     註: 知識の質は,「学習材」として使われたビッグデータに依存する。
    特に, 「詳細=正しい」ではない。