Up 6月16日 作成: 2024-12-06
更新: 2024-12-06







      『菅江真澄全集 第2巻』(未来社, 1971). p.150
    オトシベについて休らへば、
    雨やふりこん、空のけしきよからじとて、運上家のあるじのとどめつれば、
    日たかく宿っきてかたらふ。
    此コタンは、シャモの家居もはたち斗たちならび、アヰノのチセヰもいと多く、かやが軒端のいやかさなりて、くれ近く夕顔の咲かかりたる垣根をへだてて、シャモもアヰノもなりむつびてものいふ。
      夷の家の 軒ばを近み タがほの つゆもへだてぬ すみかなりけり
    更るまで月見てふしぬ。
     〔 天詮──夷辞賎栖家などチセイといひ、貴き家をさしてヤカタとぞいふなる〕