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『菅江真澄全集 第2巻』(未来社, 1971). pp.150,151
あるじ、此コタンなるクチアシカヰが彫工いとよし、見たまへとて、トコカムヰを彫たるをとうだして見せけるは、まことの蛇をあざむく斗、おぼろげの工とも見えず。
‥‥‥
ヰナヲ崎に来りぬ。
此コタンはアヰノもシャモも入まじりでゑびすめをかりぬ。
シャモは七尋八ひろの棹して、うなのそこなるをからみひけれど、舟のりありけば,
アヰノは腰にみわ小菅のやうなるものを引まとひ、あらき潮瀬にとび入り、昆布かりもて舟なるアキノに縄ひかせておつきあがり、舟ばたに鎌うちかけて休らひ、ふたたび海に入ていたく刈もてあがり、いきづきあへり。
はかりなきちひろのそこのひろめかり敏鎌かざして出る夷人
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