Up サバク化のスパイラルメカニズム 作成: 2023-11-29
更新: 2024-07-09


    「サバク」とは,不毛の地のことである。
    ひとの「サバク」のイメージは「砂」と「雨が降らない」であるが,サバクは砂でなくてもよい。
    雨量が多くてもよい。

    不毛の地とは,どんな地か?
    植生が著しく貧相な地である。
    サバクとは,植生が著しく貧相な地のことである。
    砂でなくても,植生が著しく貧相な地はある。
    雨量が多くても,植生が著しく貧相な地はある。
    それらは「サバク」である。

    サバクは,ひとが「土」と呼ぶものが無い。
    「土」は,岩が砕けたものではない。
    「土」は生物がつくるものである。
    豊かな植生は,「土」で可能になる。
    こうして,サバクの植生は著しく貧相である。


    サバクでないことは,あたりまえのことではない。
    サバクでないことは,絶妙なバランスの上に実現している。
    このバランスが一旦壊れると,そこはサバク化する。

    サバク化は,「拡がる一方」のメカニズムで進行する。 
    一般に,「一方的」のメカニズムは,「正のフィードバック」(「スパイラル」) である。
    「正のフィードバック」とは,「Aが大きくなればBが大きくなり,Bが大きくなればAが大きくなる」の関係であり,このときA, Bは延々と大きくなる。


    A. 砂のサバクの拡大スパイラル
    サバクの砂は,風で拡がる。
    これは,サバクが大きいほど拡がる。
    周囲が長いからである。
    砂が拡がることは不毛が拡がることである。
    サバクの砂は,いろいろな点から,植生に不利なのである。
    砂が土を覆うと,そこは不毛になる。
    植物生態系には,貯水池の機能がある。
    よって不毛になることは,そこが乾燥スパイラルに入っていくということである。
    そして,植物が無くなって砂はさらに動きやすくなる。
    以上により,サバク拡大はスパイラルに進行する。
    サハラサバクに代表されるアフリカ北部のサバクや,アラビア半島のサバクは,このようなプロセスで今がある。


    B. 砂でないサバクの拡大スパイラル
    雨で「土」が流出すると,植物が生えなくなる。
    植物が無くなると,それは「土」を留めるものが無くなるということなので,「土」は雨で流出しやすくなる。
    このように,雨による「土」流出と植生の細りは,正のフィードバックループをつくる。
    これは,サバク拡大はスパイラルに進行するということである。