Up 探求分野と思考停止の多様性 作成: 2007-04-01
更新: 2007-04-01


    個の多様性は,一つに「探求分野の多様性」として現れる。
    すなわち,己の興味・関心領域,守備領域,得意分野等を自ら定めるとき,個の多様性が現れる。

    探求分野を定めることは,他の分野に対して<思考停止>することを意味する。
    実際,いろいろな分野に均しく関わりを持つなど,できることではない。そんな疲れることはしない。


    ひとが交わるとは,多様な思考停止をもった個が交わるということ。
    探求分野が重なることは,確率的に少ない。
    一方が己の探求分野としているものは,他方の思考停止するところとなる。

    実際,コミュニケーションでは,相手の話をほとんど流して聴いている。
    適当に相槌を打ちながら,他のことに想いが行ったりしながら,相手の話を聴いている。

    これとは逆に,探求分野の重なった者同士が出会えば,話がはずむ。
    ウマの合う/波長の合う相手に出会ったというわけだ。
    このような出会いは,偶然の出会いということであれば,すごく確率の低いものになる。


    しかし,多くの人は,「波長の合わない者を多く相手にする」という日常生活をあまり送っていない。 それは,社会が「波長の近い者同士が集まる」しくみになっているからだ。 学校の選択,職業の選択,各種グループの選択等を個々がし合って,波長の近い者同士が集まる。

    それでも,波長の違い (個の多様性) は,いろいろな場面で歴然と現れる。
    そして,ひとは波長の違いを拡大して視る。
    ものすごく異なった波長を想念すればごく小さい波長のズレになるようなことも,それのみを見つめるので,やたら大きいものに感じられる。


    「探求分野と思考停止における個の多様性」を知り,そしてよく理解すれば,他人とのズレも気にならなくなる。 逆に,他人とのズレを楽しめるようになる。

    他人に対してなにかと不満をもつ者がいるが,それは「探求分野と思考停止における個の多様性」を知らないためだ。
    自分の関心事は他の者にとっても関心事でなければならない」「自分を理解し受け入れようとしない相手は間違っている」といった,自己中心的な考え方になっているわけだ。そして,自己中心的な考え方をしているために,<他者>で苦しむ。


    ひとの成長は,<自己中心的>から始まる。 そして,いろいろなことを経験することで,自分の<自己中心的>をだんだん壊していく。
    この成長のゴールは,「個の多様性」の見方が身に付く (体質になる) ことである。