Up 問題の整理から : 要旨 作成: 2015-01-22
更新: 2017-10-14


    「わたしとは何か」の問いを立てるのは,この問いを鎮めようとするためである。
    この問いを鎮めるものは,「わたし」を説明する理論である。
    「わたし」は,その理論を以て,不思議な事態ではなくアタリマエの事態になる。

    不思議は,この世に生まれ出た1つの個が「わたし」になった──他の個は「わたし」にならなかった──ということである。
    しかし,これがどうして不思議なのか?
    実際,「これがどうして不思議なのか?」の問いは,答えをつまらせる。

    これは,「不思議」の内容の明確化について,思考停止しているということである。
    こうして,理論を求める行程は,「これがどうして不思議なのか?」から始めることになる。


    これを行うために,いま何がアタリマエになっており,そして何が不思議になっているかを,はっきりさせておかねばならない。
    こうして,<生命体/能動体>,<個体/主体>,<わたし>,<このわたし>の概念を立てることになった:


    わたしの<わたし>は,みんなの<わたし>と同種である。
    しかし,わたしの<わたし>は,<このわたし>である。
    不思議は,一つの<わたし>が<このわたし>になっていることである。

    この不思議は,「一つの<わたし>が<このわたし>になる機序・機構」が示されるとき,鎮められる。


     備考
    1. <個体/主体>と<わたし>の差は,<わたし>は<自動>の修飾だという点である。
    2. 考え (idea) は,<わたし>の内容物である。
      <このわたし>は,ことば「わたし」に導かれて<わたし>がつくる考えの1つである。
       重要 : ことば「わたし」が無ければ,<このわたし>の考えは起こらない。