本テクストは,内容をつぎのように構成する:
1.「微積分」の学習の要点を押さえる。
1.1 |
「微分と積分は逆の関係にある」をわかることが,「微積分」の学習の要点。
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2.「微積分」の出処である運動解析で,「微積分」の考え方をつかむ。
2.1 |
<経過時間─距離>と<経過時間─速さ>が「一方から他方が導かれる関係」であることを見る。
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- <経過時間─距離>のグラフから<経過時間─速さ>のグラフを導く。
方法は,<経過時間─距離>のグラフを折れ線グラフで近似し,折れ線グラフに対応する<経過時間─速さ>の階段グラフを導く。
そして,「<経過時間─距離>のグラフは折れ線グラフによる近似の極限」に「階段グラフの極限が<経過時間─速さ>のグラフ」が対応することを見る。
- <経過時間─速さ>のグラフから<経過時間─距離>のグラフを導く。
方法は,<経過時間─速さ>のグラフを階段グラフで近似し,階段グラフに対応する<経過時間─距離>の折れ線グラフを導く。
そして,「<経過時間─速さ>のグラフは階段グラフによる近似の極限」に「折れ線グラフの極限が<経過時間─距離>のグラフ」が対応することを見る。
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ここで,折れ線グラフと階段グラフの対応づけの意味は,運動を局所的に「等速運動」と見るということである。
そして,「等速運動」は,「時間と距離の比例関係」として小学算数の内容である。
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2.2 |
<経過時間─距離>から経過時間tにおける速さを導く。
<経過時間─速さ>から経過時間tにおける移動距離を導く。
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- <経過時間─距離>のグラフから経過時間tにおける速さを導くことを主題にする。
ここまで暗黙にしてきた「なめらか (局所的に線形)」を,対象化する。
<経過時間─距離>のグラフから経過時間tにおける速さを導く。
この形式を,式に表現する。
- <経過時間─速さ>のグラフfから経過時間tにおける移動距離を導く。
この形式を,式に表現する。
2.3 |
「速さ」の意味を考えることから,「局所的に線形」の概念をもつ。
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3. ここまでの話を,関数解析の話に抽象する。
3.1 |
時間・距離・速さの意味を抜くことで,関数の話にできることを見る。
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3.2 |
<経過時間─距離>のグラフから<経過時間─速さ>のグラフを導くときの形式,<経過時間─距離>のグラフから経過時間tにおける速さを導くときの形式を,関数のことばで述べ直す。
「導関数」「変化率」「微分」「微分可能」等のことばを導入する。
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3.3 |
<経過時間─速さ>のグラフから<経過時間─距離>のグラフを導くときの形式,<経過時間─速さ>のグラフから経過時間tにおける移動距離を導くときの形式を,関数のことばで述べ直す。
「原始関数」「区分求積」「定積分」「積分」等のことばを導入する。
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4. 関数解析の形式のことになった「微積分」の応用性を見る。
4.1 |
<経過時間─速さ>と<経過時間─加速度>の関係
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5. 学校数学の「微積分」がどのようになっているかを見る。
5.1 |
高校数学では,「グラフの接線の傾きを求める」が微分の内容になり,「グラフ・x軸・区間が画す領域の面積を求める」が積分の内容になる。
特に,「微分と積分は逆の関係にある」にならない。
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