Up 教員は算数・数学科で数学を授業できない 作成: 2012-12-27
更新: 2013-01-03


    教員の数学の経験値は,小中高の「数学」を終え,そして大学の専門数学科目履修を内容が満足に理解できないまま終えた,というものである。
    小中学校教員だと,身につけている「数学」は,自分の中学・高校時代がピークになるような程度のものである。
    この教員が算数・数学科の授業をするときは,数学を知らない者が授業するという格好になる。

    例えば,小学数学 (「算数」) の「分数係数の量計算」の授業。
    教員は,
      数の定義は? 数の算法の定義は? 分数係数の量の定義は?
      この量計算は,推論としてどんな規則の適用になっているか?
       またその規則は,既にどこで導入されていたものか?
    が問われると,答えられない。
    全般に,問いが「何・なぜ」の形のものだと,答えられない。
    こうして,教員は「分数係数の量計算」の数学を知らない。
    そして,これを授業する。

    例えば,中学数学の「1次関数」の授業。
    このとき「関数とは何か?」「1次とは何か?」が問われたら,教員は数学として答えられない。。
    こうして,教員は「1次関数」の数学を知らない。
    そして,これを授業する。

    数学を知らないで数学の授業はできない。
    数学を知らない教員は,算数・数学科において数学を授業できない者である。

    さらに,教員は,いまから数学力陶冶に向かうということもしない。
    事情がこうさせる。
    教員は,すなわち教職は,こうなる。
    「数学を知らない,したがって算数・数学科の授業は数学の授業にはならない」は,「教員の不作為」の問題ではない。

    「数学力陶冶をしない」は,「教員/教職」の含意である。──ここに「教員は数学を授業できない」の要点がある。
    教員/教職は,なぜこうなるのか?
    理由は,主につぎの二つである:
    1. 授業以外の業務のために数学力陶冶が後回しにされ,そしてこれが常態になる。
    2. 数学力に関しては,いまのままでよい」の雰囲気が,教員間で醸成される。