Up 要所は,下手をするところ 作成: 2015-02-17
更新: 2015-02-18


    論文には,要所がある。
    そしてその要所は,不思議と,論者が下手をやってくれるところである。

    「不思議と」と言ったが,実はこれは不思議ではなく当然のことなのである。
    要所は,要点・本質の棲むところである。
    そして,要点・本質は,鍛錬の末に到達するところのものである。

    要点・本質は,シンプルである。
    シンプルは,極みである。
    "Simple is the best." というが,これの含蓄は「シンプルができるなら,もう極まっているよ」である。

    実際,数学の進化を見るとよい。
    数学の進化は,シンプルへの進化である。
    現代数学は構成主義であるが,これは構成主義がシンプル実現の方法論だということである。


    要所で下手をするのは,端的に,素養がないからである。
    素養をつける鍛錬が足りないからである。
    素養は,下手を無くすものではないが,下手を小さくする。

    下手は,鎮まるか?
    全然。
    ずっとやることになる。

    肝心なのは,「下手」に萎縮しないことである。
    実際,「自分の成長のために確信犯的に下手をやれる」を「上手」の意味にするのが,身のためである。