Up | 謙虚・礼儀の履き違え : 要旨 | 作成: 2010-10-13 更新: 2010-10-13 |
このときひとは,<なに・なぜ>の問題に対する答えを,思いつきでつくってしまう。 (思いつきの答えで納得する。) 思いつきの<なに・なぜ>から,思いつきの<いかに>に進む。 この思いつきの<いかに>が,しばらくの期間,数学教育界を席巻する。 思いつきの<いかに>は,うまくいかない。ただ問題を余計に増やす。 失敗が明らかになり,撤退となる。 学校数学は,従来型に戻ってしばらく安定する場合もあるが,主役交替の力学で以て単純な180度転換になるのがふつうである。 単純な180度転換になるのは,失敗サイクルが世代忘却されるためである。 ──新世代が,再び失敗サイクルを起動する。 こうして,学校数学は振り子運動する。 それは,およそ10年ないし20年周期になっている。 (行政の学習指導要領改訂は,この振り子運動と重なっている。) 数学教育の<なに・なぜ>の考え方では,おおきく実質陶冶と形式陶冶の立場が分かれる。 そして,振り子運動の極にも,実質陶冶のものと形式陶冶のものがある。 ( § 実質陶冶 -対- 形式陶冶) 1970年代の「数学教育の現代化」は,前者の好例である。 そしてこれが失敗し替わって登場してきた「問題解決指導」(NCTM, 1980 : "An Agenda for Action : Recommendation for School Mathematics of the 1980s") は,後者の好例である。 振り子運動は,人の組織・集団の運動の一般形であり,活性をコンスタントにつくりだすという意味では合理的なものである。 このメカニズムを,まとめておこう:
反対の極に向かうムーブメントがとって替わり,そしてこれも失敗する。 これの繰り返し。 失敗するのは,思いつきでやられてしまうからである。 思いつきでやってしまうのは,自分ではよいと思っているからである。 過去に失敗したことを繰り返すのは,失敗が忘却 (世代忘却) されるからである。 |