Up 「<論考>ができる」カラダづくり 作成: 2008-03-29
更新: 2008-03-29


    <論考>は,言説の一つの特殊な様式である。
    これのできるカラダづくりを教育課題にしているものは,大学の卒業論文ないし大学院の修了論文。
    翻って,学生時代に論文課題を持たなかった者は,<論考>のできるカラダづくりの教育を受けなかったことになる。


    「法人化」以降,国立大学はつぎの風潮に支配されるようになった:

      学生を「顧客」にみなす。
      脱専門性を「顧客満足」の意味にする。
      この意味で,「顧客に選んでもらえる大学」を目指す。

    「脱専門性」の内容になるものは:

      • 実用・実際主義
      • 合科主義
      • コア・カリキュラム
      • 基礎学習コース
      • 生活単元
      • 総合学習
      • 体系バラバラ的問題解決学習
      • 体験学習
      • インターンシップ
      • 地域フィールドワーク
      • ボランティア

    こんな風潮の中では,論文課題は,「学生は,論文を課しても能力的に無理」ということで,さっさと見切られてしまう。

    学生の方にしても,
      「大学に入る意味は,大学卒業 (単位・資格の取得)」
    の考え方に既に染まっていて,
      「大学に入る意味は,自分の<成長>」
    という考え方を知らない。
    レポート課題は,自分の<成長>のための課題とは考えないで,単位取得のための形作りと受けとめる。そこで,他人のレポートの中身を写すとか,ネットで拾った文章をただコピーするとかも,よしとなる。──本当は,損しているのだが。

    しかし,このような風潮の時代であるからこそ,余計,論文課題は必要・重要であると考えねばならない。