Up 「宇宙原理」 作成: 2021-09-15
更新: 2021-09-15


    宇宙論のテクストには,「アインシュタイン方程式を解く」の文言が出てくる。
    アインシュタイン方程式は一般式である。
    「アインシュタイン方程式を解く」は「方程式 \( a sin(bx) = c \) を解く」と言っているようなものである。 ── \( a sin(bx) = c \) は,\( a, b, c \) に何か数値を入れて,はじめて「解く」となる。

    「アインシュタイン方程式を解く」は,つぎが中身である:
      アインシュタイン方程式の定項に数値をいろいろ入れ,
      解くことのできる方程式にまで簡略化し,
      これを解く
    これは,《「アインシュタイン方程式を解く」は,問題の設定のいろいろに応じて,いろいろになる》ということである。
    例えば,シュバルツシルト解は,問題を「一つの天体の周りの時空の形」に設定したものである。


    いま,問題を「宇宙全体の時空の形」に設定する。
    このとき方程式を簡略化するために仮定するのが,「宇宙原理」である:
      「宇宙は一様かつ等方」

    宇宙は一様かつ等方ではない。
    しかし,アインシュタイン方程式を解ける方程式に変えるために,宇宙を無理矢理「一様かつ等方」にする。
    即ち,濃度均一のガスに見立てるのである。


    「宇宙原理」を立てることは,宇宙が FLRW計量に従うものになることである。
    この計量をアインシュタイン方程式に代入する。
    このとき得られる時空の運動方程式が,「フリードマン方程式」である。