Up 化学肥料による耕作地劣化のメカニズム 作成: 2024-04-16
更新: 2024-04-16


    劣化のメカニズム
    1. 土壌の酸性化
        肥料の「窒素,リン,カリウム」は,硫酸イオンなどの陰イオンと結合した形になっている。
        栽培植物が窒素,リン,カリウムを吸収するとき、これらと結合していた陰イオンが土壌に残される。
        降水・施水などで水が土壌に浸透すると,カルシウムイオンなどの陽イオンがこの陰イオンと結合し,そして流失する。
        これは,土壌が酸性化するということ。

    2. アルミニウムイオンの溶出
        土壌の酸性化が進むと,アルミニウムイオンが溶出する。
        アルミニウムイオンは,栽培植物に有害 (生育を阻害)。

    3. 酸性土壌に強い野生植物の侵出
        栽培植物はこれに負かされるようになる。


    土壌酸性化に対し,耕作者は石灰質資材の施用で応じている。
    しかしアルミニウムイオンや雑草の問題は,これで解決されるわけではない。

    アルミニウムイオンや雑草への対処法は,耕作地の「更新」ということになる。
    しかしこれは,土壌のさらなく劣化を代償とする。
    土壌は,土壌生態系の賜だからである。


    こういうわけで,化学肥料による耕作は,耕作地を劣化させる一方である。
    劣化が早いか遅いかの違いしかない。
    劣化は,はじめから織り込み済みにしておくことである。
    実際,商品経済の下の耕作は,化学肥料でやっていくしかないのである。