Up 「本末転倒」の配役 作成: 2009-12-20
更新: 2009-12-20


    「本末転倒」の配役は,<本末転倒のきっかけ/モーメントをつくる者>と<人間関係を面倒にしないために本末転倒に応ずる者>の二種類である。

    A. <本末転倒のきっかけ/モーメントをつくる者>

    「ワーキンググループ」は,これである。
    「ワーキンググループ」は,つぎのような考え方をする:
      "If we build it, they will come."
    "build" は,ことばを紡ぐ行為である。 これは,「机上の空論」になる。
    「机上の空論」の意味は,「現実から懸け離れた論」ではない。 ことばを紡ぐ者は,リアリティを扱っていると錯覚してしまうのである。 これが,「机上の空論」の本質である。
    ことばを紡ぐ者がつくってしまう<リアリティを欠いたもの>が,「箱物」の意味である。 箱物は,ことばがこれをつくらせる。

    「ワーキンググループ」は,"If we build it, they will come." の "we" を自任する。 自分のつくった「箱物」を "they" に埋めさせようとする。
    しかし,ここが要点であるが,箱物が<リアリティを欠く>の意味は,<入るべきリアリティがそもそも無い>である。
    リアリティの無いところで始められた作業は,作業の形をつくる作業に進む。 そしてこれは,自分の足場を壊す作業になる。

    B. <人間関係を面倒にしないために本末転倒に応ずる者>

    人間関係を面倒にしないために<末>をとり,<本>を捨てる。
    ただし,「人間関係を面倒にしないために」の理由で<本>を捨てることができるのは,<本>に対する認識がもともと希薄であったから,ということになる。
    認識が薄ければ,責任意識も持てない道理である。 もともとよくわかっていないので,責任というものがわからない。 責任というものがわからないところに「人間関係」が入ると,「人間関係」がいちばんになる。