Up 「人権」は方便 作成: 2014-12-27
更新: 2014-12-27


    「人権」が立てられるのは,つぎのようにしてである:
      《「虐げられる者」を見て,「虐げる」をなくそうとして,「人権」を立てる》
    「人権」の意味は,「虐げられる者はあってはならない」である。

    「人権」は,方便である。
    方便で使うものである。

    ひとが亡くなったときに,「あの世で」云々のことばが出てくる。
    このことばは,その場において不可侵である。
    一方,そのような状況から離れ,理論の趣で「あの世で」云々と言ったら,たちまち「あの世なんてものは無い」の反撃を食う。

    「人権」も,これと同じである。
    ある種の場においてこのことばは,不可侵である。
    一方,そのような状況から離れ,理論の趣で「人権」を言えば,「そんなものは無い」になる。


    人の歴史には,つねに「虐げられる者」がいる。
    「虐げられる者はあってはならない」のイデオロギーでつくられた体制は,改めて「虐げられる者」をつくる。 ──体制が人工的である分,よけい酷い「虐げられる者」をつくる。

    「虐げる」の生物学的概念は,「寄生」である。
    生き物は,ラクな生き方を択るようになっている。
    寄生が可能なときは,寄生を択る。
    特に,力の優位な個/群れは,劣位の個/群れに寄生する。
    「奴隷」は,人間の発明ではない。

    さらに,社会的生き物では,員の間での寄生 (「社会寄生」) がある。
    専ら働く者とこれに寄生する者の分化ができあがる。
    派閥が現れてその間に力の優劣の差ができると,派閥間の寄生関係ができあがる。
    「階層」は,人間の発明ではない。