Up 要求闘争の「権力の手先」構造 作成: 2008-06-03
更新: 2008-06-03


    「権力の手先」構造は,組織ではごくアタリマエのものである。
    簡単に嵌り,そして嵌っていることを意識しない,
    「権力」に対抗しているように見える要求闘争 (条件闘争) も,たいてい「権力の手先」構造にすっぽり嵌っている。


    トップダウンでは,委員会を階層的に組織するやり方が使われる。
    最下層の委員会は,「現場の意見の回収」が役どころである。
    このとき,「善意」の委員会は,要求闘争 (条件闘争) の形をつくろうとする。 すなわち,要求闘争執行部として,現場の意見の回収をしようとする。

    要求闘争執行部は,現場の意見の回収をするが,それは要求闘争 (条件闘争) の形を変えないという限りにおいてである。
    それは,要求闘争 (条件闘争) の構え・文体を終始貫くということ。
    ──翻って,要求闘争 (条件闘争) の構え・文体でないものは,排除される。

    「権力」は,「要求に配慮した」という形をつくることで,自分の意向を通すことができる。
    要求闘争執行部は,要求を通したことを現場の戦果とするが,これは「権力」と現場の力関係を描いてみせたことになる。
    「権力」側にしてみると,現場の方から自分を<権力>と定めてくれたわけであるから,現場対策がさらにやりやすくなる。


    さて,「要求闘争 (条件闘争) の構え・文体でないもの」として排除された構え・文体とは,何であるか?
    国立大学の中のことであれば,それは<研究>の構え・文体である。

    <研究>の構え・文体は,「権力」幻想ではなく,「権力」幻想が隠している本体の教職員を見るものになる。
    よって,「権力」幻想を必要とする者にとって,<研究>の構え・文体は居心地が悪い。
    ──「権力」幻想を必要とする者とは? 「権力」側にいる者はそうであるかも知れない。 しかし皮肉なことに,反権力の要求闘争執行部の方が,よりいっそう「権力」幻想を必要とする者なのである。