|
寺岡克哉 (2008)
人工衛星に取り付けられている、気温を観測するための装置は、「マイクロ波サウンディング装置」とか、「マイクロ波放射計」とか言われています。
これは、大気中の「酸素分子」が出している、「ある特定の電波」を測定するものです。
酸素分子がだす電波の「強さ」は、おもに気温によって変化します。なので、その「電波の強さ」を測定すれば、「間接的に」気温が分かるわけです。
ここでまず、人工衛星による観測は、「気温を直接測定している訳ではない」ことに注意してください。実際に測定しているのは、「酸素分子がだす電波の強さ」なのです。
一方、地上での測定は、「温度計」によって直接気温を測っています。
|
|
註: |
ここでは,「直接的」「関接的」の語を,それぞれ「オン・サイト」「オフ・サイト (リモート)」の意味であると,受け取っておく。
実際,「測る」は「装置を用いて測る」であり,それは「ある物質の物性を利用して関接的に測る」だからである。
──「温度計によって直接気温を測る」も関接的であることに変わりはない。例えば,液体温度計は,液体の<温度に対して体積を変える>という物性を用いる。そしてその「温度」は,空気から液体容器に熱伝導しさらに液体に熱伝導するという物性の物理現象である。
|
|
同上
また、測定する電波の種類(周波数)をすこし変えると、「ちがう高度(標高)のデータ」を得ることもできます。
しかし、その「高度」は、厳密に決めることが出来ません。どうしても、
数千メートルの「幅」を持ってしまいます。
なので、衛星の種類によっても異なりますが、だいたい高度2000〜8000メートルぐらいの範囲を、平均的に観測していると考えてよいでしょう。
このため人工衛星による観測データは、地表の気温ではなく、「対流圏下層の気温」と言われます。
一方、地上での測定は、原則的には地面から2メートルの高さの気温を測っています。これも、人工衛星のデータと異なるところです。
|
|
註: |
ここでは,逆に,地面から2メートルの高さの気温を「地球の気温」と呼んでいいのかが問われてくる。
少なくとも,地面から2メートルの高さは,「CO2 温室効果」を測る高さではない。
そして,地面から2メートルの高さの気温を測る測候所は,人の営みに影響される場所にある。
|
|
同上
さらに人工衛星は、地球上で起こる「火山の噴火」や「エルニーニョ」などの影響も、全部まとめて観測してしまいます。
だから、長期間にわたる気温の変化を調べるためには、それら短期間の一時的な現象による影響を、除いたり補正したりしなければなりません。
|
|
註: |
ここは,気温とは何か?の考え方が現れるところである。
地球上で起こる火山の噴火やエルニーニョを気温の要素にしなかったら,何を残すのだという話になるからである。
論者は IPCC を支持する立場なので, 「CO2 温室効果」が気温変動の要因として大きくなるモデルが望ましく,そこで自然的要因の排除という考え方に進むわけである。
|
|
GTR (2021)
As part of an ongoing joint project between UAH, NOAA and NASA, Christy and Dr. Roy Spencer, an ESSC principal scientist, use data gathered by advanced microwave sounding units on NOAA, NASA and European satellites to produce temperature readings for almost all regions of the Earth.
This includes remote desert, ocean and rain forest areas where reliable climate data are not otherwise available. ‥‥
The satellite-based instruments measure the temperature of the atmosphere from the surface up to an altitude of about eight kilometers above sea level.
Once the monthly temperature data are collected and processed, they are placed in a "public" computer file for immediate access by atmospheric scientists in the U.S. and abroad.
|
|
|